トータルステーション

ー中国での開発経緯や、設計時のご苦労についてお聞かせください。

現地スタッフとは言語や文化の壁があり、当初コミュニケーションが円滑にとれていませんでしたが、日本人の品質に対する意識・日本市場に特化した仕様を現地技術者と共有し、設計を重ねました。
同じ目的の下、お互いの理解を深めて徐々に意思疎通がとれ、協力し信頼し合える心強いスタッフになっていきました。

ー設計において、こだわった点はどんな所ですか？

防塵防水IP66、シフティング機能、USBメモリーによるデータの受け渡し、XYデュアルチルト等を搭載して日本ユーザーに受け入れられるクオリティを徹底的に造り込みました。
基本仕様の測角精度：５″、測距精度：プリズム使用時2mm+2ppmは、上位モデルにひけを取らない精度ですし、ハードウエアでは最短0.5m～測定可能である事は、日本の測量事情に合っています。

ー最も苦労された防塵防水テストとは？

日本の品質への厳しい要求に対応する為、IP66規格クリアを目指したが、社内にIP66の試験設備がなかったため、総務に掛合い消火栓を借りて何度も何度もテストを繰り返しました。
最終的に上海SGS（認証機関）で試験に合格した時はスタッフみんなで喜びを分かち合いました。

ー日本市場に中国製品を投入する際の苦労した点を教えてください。

ひとつ目は「完全日本語化」です。当初MT-105の原型を見た時、表示部分にかなりの英語表記が残っており、このままでは日本のユーザーには受け入れてもらえないと感じました。膨大な作業量でしたが、お客様がスムーズに操作できる事を目指し、着々と翻訳を進めました。結果、お客様から高い評価を頂いた時には苦労が報われました。また「バックライト付きの液晶画面は明るい現場でも見やすい！」との声を頂いています。

ふたつ目は「国土地理院の機種認定」。まずは何をどうすれば日本の機種認定を取得できるのかを調べ、必要な電気的データの取得方法、認定に必要な資料など中国現地スタッフを納得させるにもエネルギーを費やしました。純粋な中国製(開発・製造)での2級Aトータルステーション取得が、日本で初めてだった事は感慨無量です。